感想「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」

 

先日(といっても大分前になりますが…)pixivFANBOXにて

Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀

の解釈依頼を受けまして、その感想を羅列します。
解釈というよりも一人語りのオタク構文で書けないことを先に陳謝しておきます。

 

予定調和のエンターテインメント性

 

台湾の伝統的な人形劇をベースに人形劇アニメ、さらには虚淵玄脚本?!
要素てんこもりすぎて困惑しましたがその困惑は一話の序盤で払拭されました。サンファン、面白すぎる。
中国ファンタジーあるある演出らしいですが必殺技や決め場に現れる漢詩の演出。最高すぎて手叩いて喜んでしまいました。急に中国語でナレーション入ったかと思うと画面に漢詩が現れるんですよめちゃめちゃカッコよくて、そりゃもう喜んじゃいますね。最終回までこの演出が来ないか今か今かと楽しみにしている自分がいました。
コテコテではあるんですがオタクだったら胸熱間違いなしというファーストインパクトがあり、さくさくと視聴を続けました。

 

作画崩壊が皆無のストレスフリー

 

人形劇なので当たり前なんですが作画崩壊が起きないストレスフリーは半端ないです。しかも自分はドールオタクなので結構感動しました。日本のキャストドール界の最大手ボークスが絡んでいるかと思いきや違いましたね。せっかくだからボークスとコラボすればよかったのに~とか思っちゃいまいすね。顔がいいことに変わりはないんですが。
 作画崩壊がない喜びもありますが、半実写故の演出に興味が湧きいちいち楽しめました。ただ戦闘シーンで物体が激しく動くため、めちゃくちゃ目が疲れました。逆に言えば躍動感がすごいということなんですけど。

 

そんな感じで主要キャラクターの各キャラクターのプロフィールも個人的感想を書きます。一発で好きなキャラクターがわかると思います。ネタバレの際は都度表記します。


凜雪鴉(リンセツア)
通り名は「鬼鳥(キチョウ)」
cv鳥海で美丈夫設定だったらみんな好きじゃんそんなん。一応シリーズ通しての主人公で後述の殤不患(ショウフカン)を旅へ導きます。
めちゃくちゃ好きじゃん要素としては私的に「大盗賊で手にしたお宝は10秒見て少し触ったら完璧な模倣品を作れる」というところがアツイです。
「月明かりを浴びて影を落とさず、雪道を踏んで足跡を残さず、天地の理さえも欺いて奇計妙策を巡らす」
なんてめちゃくちゃカッコいい。
個人的な意見としてキャラクターの「矜持」を大切にしている作品て一貫性と説得力があって好きなんですよね。矜持と言ったら仰々しいけど己の欲望に突き進む姿に安心感さえ覚える。
彼は大盗賊の悪党だけどその魂胆は金銀財宝目的でなく悪党を欺きその傲慢さを蹴散らすことで悦を得るような奴なので一石二鳥だね(?)


殤不患(ショウフカン)
キチョウと旅路を共にする(する羽目になった)男でもう一人の主人公。義に熱く、そんな理由でええんかという形でキチョウの口車に乗せられちゃうお人好しな武人だけどその実めちゃくちゃ強くて聖剣邪剣など人々を脅かす魔剣を封印した「魔剣目録」の持ち主でとりあえずめちゃくちゃ強くて大変な目にあっちゃう。お人好し。


丹翡(タンヒ)
物語の軸となる「天刑劍」の鍔を守る一族の末裔でヒロイン。後述のラスボス、蔑天骸(ベツテンガイ)にその鍔を奪われ兄を殺され、鍔を取り戻すために旅路に出る。普通に強くてとても誇り高い女性だからこそ物語中いつボコボコに屈辱的な目にあわないかハラハラしてた。


狩雲霄(シュウンショウ)
cv小山力也の弓の名手でキチョウに呼び寄せられて旅を共にする。cv小山力也だからドクズ


捲殘雲(ケンサンウン)
タンヒのこと好きになっちゃうから大好き可愛い。シュウンショウの弟子で旅を共にする一人。若者で修行中の身のために時々力及ばず。タンヒよりヒロインですね。物語の唯一と言っていいほどの良心なので死なないかビクビクしてた。


刑亥(ケイガイ)
冥界生まれで「夜魔の森」に住む普通に怖い妖怪女。なんか笛吹かないと道中ダルい所があったらしくそのためにキチョウがやっほ~笛吹くのよろ!って」てして協力するけどキチョウが死ぬほど憎いらしい。最後までただの妖怪。


殺無生(セツムショウ)
ぼきわせつむしょうくんが大好きで~~~~~~す!!!!!!!
まずcv檜山で悪役は最高じゃん。しかもって戦って人を斬り殺すことしかまるで興味ないんだよ。好きじゃんそんなん。ロリです。セツムショウくんは純真無垢なロリです。
悪名高い殺人鬼なので作中ご飯屋さんにお酒飲みに行くんですけど客やらが全員逃げてその損害分のお代を貸し切り料として払う描写があるんですけどめちゃくちゃ可愛くて愛おしくないですか?変なところで気前の良さを出すな。
生い立ちなどは一切語られずキチョウに因縁があるらしいという過去が匂わされるだけです。おそらくキチョウに意地悪されちゃったんでしょうね。死ぬよりも屈辱って言ってたくらいなので。私もセツムショウくんに意地悪したいです。

以下ネタバレなんですが、
セツムショウは結局ベツテンガイに勝負を挑み、剣を交わうまでもなく自分の敗北を悟りながらも死ぬんですが、私にとって最後まで気持ちの良いキャラクターでした。とても愛おしい。

以上ネタバレ終わり。

私は否応無く人を斬りたくてしょうがないキャラクターが好きでしょうがないのですが今まで出会ってきた中で上位に食い込む愛おしさです。キチョウの紹介でも書きましたが、キャラクターの「矜持」を大切にすることで倫理観を逸脱して尚そこに圧倒的な説得力が生まれるんですよね。私個人が無根拠、無意味な矛盾や二転三転する意思を嫌悪しているだけなんですが…。
人を斬る為に生まれ人に斬られ死ぬ、変な話それは一種の仁義のように思えるんですよね。一般的に因果応報と言いますが。
私は空想上でそういうひとつの人生が、物語があって欲しいなあと思ってます。私がただ救われて良い気持ちになるためだけでも。


蔑天骸(ベツテンガイ )
ぼきわ、尊大な支配者が大好き。そして関智一が大好き。
セツムショウと並んでとても好きになったキャラです。悪役とされる者が傲岸不遜、強者の驕りがあって粋なのは最高ですね。
オタクはみんな好き好き~な話は、

以下ネタバレなのですが

セツムショウがベツテンガイに挑み破れた後その亡骸を丁重に扱えと指示したところです。時には礼節を以って敗者を敬うんですよね。元はといえば武人だったわけですから。
ベツテンガイはたとえこの物語で最後討ちやぶられ死んだとしてもそれはもうその死に様ですら悪逆そのもののような潔いものを期待していましたがその通りになって嬉しかったです。簡単に正義とかなんか耳障りの良い無粋なものに壊されなくてよかった。

以上ネタバレ終わり。

 

オタク的ロマンの心地良さ

 

キャラクターを一通り見てみてもめちゃくちゃテンプレートだ。でもそのテンプレートが心地よくて助かります。私みたいなオタクはやっぱり見てて心地よい物語を何回も擦り続けることが好きなんですよ。
虚淵がこれはもっと多くの人に知ってもらわないと勿体無いと言ったのもわかります。仁義を通すってのが好きだからなあ。オタク的予定調和でなされた構成や台詞回しは言い方を変えると「ロマン」。古くからある物語であるならそれは約束されたものなんですね。

それに、キャラクター感想の際再三述べたんですが、どんなに非道悪党であっても「キャラクターの矜持」を守ることが、下手な救済だったり改心よりも余程心に刺さりませんか?

 

諸事情でまだ二期と劇場版が未視聴なのですがこれからまた視聴したら感想追記したいと思います。キチョウとセツムショウの因縁が描かれてるとのことなので。